皆さん、こん◯◯は。星の音楽教室、講師の星野義浩です。いつもブログをご覧頂き有難う御座います。
先日、当教室で使用するテキストをご紹介しました。
『篠崎ヴァイオリン教本』(全音楽譜出版社)
前回の記事では、使用理由が進度が緩やかで、急な要求や飛躍が無い事を挙げました。
長くなるので、前回はそこだけにしましたが、今回は更に詳しく理由を書いて行きます。
まず、調号が無いハ長調(イ短調)からスタートしていると言う事です。
ヴァイオリンの学習は、左手の都合により、ハ長調ではなく、イ長調やニ長調からスタートする事が多いです。
何故かと言いますと、人間の手は構造上、人差し指と中指は開き易いですが、逆に付けるのは苦手です。
ハ長調の場合、この人差し指と中指を付ける形からスタートします。
一方でイ長調の場合、人差し指と中指を開かせるので、こちらの方が初心者にはやり易い訳です。
その為、多くテキストがこの形を使う、イ長調やニ長調からスタートさせています。
非常に理に適っている事なのですが、実はここが曲者なのです。
確かに人差し指と中指を開く形はやり易いのですが、少し極端な事を言えば、それ故にどんな形、どんな格好でも弾けてしまうと言うデメリットもあります。
指が寝ていようが、傾いていようが、手首が曲がっていようが、それなりに弾けてしまいます。
そのままのフォームで弾き続けて、いざ人差し指と中指を付ける形を学習すると、どうしても付けにくい、薬指を開くと中指が釣られて開いてしまう。などの問題が出てきます。
人差し指と中指が開く形はどんなフォームでも弾けてしまうのに対して、人差し指と中指を付ける形は、ある一定のフォームでないと弾けないのです。
そこにはちょっとしたコツがあるのですが、悪いフォームで長い事慣れてしまっていると、その形に直すのはなかなか大変です。
逆に最初は弾きにくくても、人差し指と中指を付ける形から入ると、正しいフォームが身に付き、その他の形は割と簡単に出来ます。
そんな事もあり、私は最初に人差し指と中指を付ける形から勉強する方が良いと考えております。
また音楽を学習する上でも、やはり基本はハ長調だと考えます。
そこから♯や♭を学ぶ事で、半音上げる下げるの理解が出来ますし、それにより調号と言う物が存在する事も理解し易いと思います。
調性によって指の形が変わって行く事も理解し易いのではないか?と考えています。
しかし残念ながら、ハ長調からスタートするテキストはあまり多くはありません。
私の知る限り国内版では篠崎とホーマンくらいで(ホーマンはまた別の問題点がありますが。)マイナーな方法かもしれません。
しかし私は長年指導経験により、やはりこの形から入るべきだと、強く感じております。
またこのテキスト、あまり見た目が子供っぽく無いのも良くて、大人でも子供でも同様使う事が出来るのも気に入っています。
更に2巻以降になると、指の練習や音階練習、ポジション移動練習に、カイザー練習曲の短縮版まで入っていて、
一石二鳥どころか、三鳥、四鳥ぐらいのお得感があります。あれこれ複数のテキストを用意しなくて済むのも有難い所です。
そう言う意味では、ほぼ無敵な教則本とも言えるでしょう。
とは言え、人それぞれ目的も違いますので、場合によっては途中から他の本に移行する事もありますし、
4巻以降は無いので、その先はまた違うテキストを使う必要はありますが、
取り敢えず、初心者から上級者の入口まで網羅している、大変優秀なテキストである事は間違いありません。